アメリカ英語とイギリス英語の発音の違い7つと練習法

学校の授業や英検のリスニングで聞いてきた英語は、ほとんどがアメリカ英語です。ところが、TOEICのリスニングや海外ドラマでイギリス人の話者が出てきたとたん、知っているはずの単語が聞き取れなくなる。そんな経験はありませんか。この記事では、アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いを7つに整理し、日本人にとってどちらが学びやすいのか、どちらを選ぶべきかを解説します。後半では、どちらにも使えるシャドーイングの手順を紹介します。初めての方は、先にシャドーイングの基本ガイドを読んでおくとスムーズです。
アメリカ英語とイギリス英語、比べる前に知っておきたいこと
この記事で「アメリカ英語」と呼ぶのは、教材でよく使われる一般米語(General American)です。「イギリス英語」は、辞書の発音記号の基準になっている容認発音(RP)、つまりイングランド南部の標準的な発音を指します。実際にはどちらの国にも多くの地域差があり、ここで比べるのはお手本として選ばれやすい2つのモデルです。
日本の教科書や英検の音声はアメリカ英語が中心です。一方で、TOEIC L&R のリスニングにはアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアの話者が登場しますし、IELTS ではイギリス英語を含むさまざまな発音が流れます。つまり、話すモデルは1つでよくても、聞く耳は両方に慣れておく必要があるということです。
アメリカ英語とイギリス英語の発音の違い7つ
1. 母音のあとの r を発音するか
いちばん大きな違いです。アメリカ英語は母音のあとの r を発音します。イギリス英語(RP)では、後ろに母音が続かないかぎり r を発音せず、前の母音を伸ばします。
- car:米 /kɑːr/ 英 /kɑː/
- teacher:米 /ˈtiːtʃər/ 英 /ˈtiːtʃə/
bird や work の母音も、アメリカ英語では舌を引いた r の響きが加わり、イギリス英語では r の響きのない /ɜː/ になります。
2. 母音にはさまれた t
アメリカ英語では、母音にはさまれた t が舌先で軽くはじく音(フラップ T)になり、日本語のラ行に近く聞こえます。イギリス英語の RP では、息をともなうはっきりした /t/ です。ロンドンなど多くの地域では、のどで音を止める声門閉鎖音 [ʔ] になることもあります。
- water:米「ワーラー」に近い 英「ウォータ」に近い
- better:米「ベラー」に近い 英「ベタ」に近い
- city:米「スィリィ」に近い 英「スィティ」に近い
3. bath・can't の母音
bath、glass、can't、dance などの単語は、アメリカ英語では /æ/、イングランド南部では /ɑː/ で発音されます。
- bath:米 /bæθ/ 英 /bɑːθ/
- can't:米 /kænt/ 英 /kɑːnt/
- dance:米 /dæns/ 英 /dɑːns/
ただし、cat や man のように、どちらの英語でも /æ/ の単語のほうが多数派です。
4. hot・stop の母音
hot、not、stop の o は、アメリカ英語では唇を丸めない /ɑː/、イギリス英語では唇を軽く丸めた短い /ɒ/ です。
- hot:米 /hɑːt/ 英 /hɒt/
- stop:米 /stɑːp/ 英 /stɒp/
アメリカ英語の hot が「ハット」に聞こえて hat と混ざるのは、この違いが原因です。母音の区別に不安がある方は、ミニマルペアで母音を聞き分ける練習を並行すると効果的です。
5. go・no の二重母音
go、no、home の母音は、アメリカ英語では /oʊ/、イギリス英語では /əʊ/ です。どちらも二重母音なので、日本語の「ゴー」「ホーム」のようにまっすぐ伸ばすと、どちらの発音にもなりません。
6. new・tune の「ュ」
t、d、n のあとの「ユー」で、アメリカ英語は /j/ の音を落とす傾向があります。
- new:米 /nuː/ 英 /njuː/
- tune:米 /tuːn/ 英 /tjuːn/
- student:米 /ˈstuːdnt/ 英 /ˈstjuːdnt/
7. 単語ごとの発音と強勢の位置
規則ではなく、単語単位で覚えるしかない違いもあります。
- schedule:米 /ˈskedʒuːl/ 英 /ˈʃedjuːl/
- advertisement:米 /ˌædvərˈtaɪzmənt/ 英 /ədˈvɜːtɪsmənt/
- garage:米 /ɡəˈrɑːʒ/ 英 /ˈɡærɑːʒ/
- vitamin:米 /ˈvaɪtəmɪn/ 英 /ˈvɪtəmɪn/
- tomato:米 /təˈmeɪtoʊ/ 英 /təˈmɑːtəʊ/
- either:米 /ˈiːðər/ が多い 英 /ˈaɪðə/ が多い
-ary や -ory で終わる単語では、アメリカ英語は後ろの母音をはっきり残し、イギリス英語は弱めて短くします。secretary は米 /ˈsekrəteri/、英 /ˈsekrətri/。laboratory は米 /ˈlæbrətɔːri/、英 /ləˈbɒrətri/ で、強勢の位置まで変わります。
イントネーションと語彙の違いは?
イギリス英語のほうが声の高低の幅が広く聞こえる、と言われることがあります。ただし、これはあくまで傾向で、話す人や場面による差のほうが大きいものです。内容語を強く、機能語を弱く読むリズムの土台は共通なので、まずは英語のイントネーションとリズムの基本を固めるほうが先です。
語彙の違い(elevator と lift、apartment と flat、fall と autumn など)は、出てきたときに覚えれば十分です。通じるかどうかを左右するのは、語彙より発音です。
日本人にはどちらの発音が学びやすい?
日本語の音のしくみから見ると、それぞれに楽な点と難しい点があります。
- イギリス英語が楽な点:語末の r を発音しないので、car や teacher は長母音で言えば近い音になります。tomato、new、hot もカタカナに近いのはイギリス式です。
- アメリカ英語が楽な点:フラップ T は日本語のラ行とほぼ同じ舌の動きです。教材が多く、学校で聞き慣れているのも利点です。
- どちらでも変わらない課題:L と R の区別、th や v、子音のあとに余計な母音を入れる癖、強勢のリズム。これらはモデルを変えても消えません。
ただし、「カタカナに近いからカタカナのままでよい」わけではありません。強勢や語末の子音は、どちらの英語でもカタカナとは別物です。癖を直したい方は、カタカナ英語の直し方も参考にしてください。
結局、どちらを学ぶべきか
結論から言えば、どちらも正しい英語で、お互いに問題なく通じます。優劣はありません。選ぶ基準は次の3つで十分です。
- 使う相手と場所:アメリカの企業や大学を目指すならアメリカ英語、イギリス・ヨーロッパ・オーストラリア方面ならイギリス英語が自然です。
- 好きな素材:毎日聞いても飽きない映画やドラマ、話し手がいるほうを選びます。続けられることが最優先です。
- これまでの蓄積:特に希望がなければ、学校で慣れてきたアメリカ英語をそのまま伸ばすのが効率的です。
試験についても心配はいりません。IELTS、TOEFL、TOEIC のスピーキングは、どちらの発音でも評価は変わらず、2つが混ざっていても減点の対象にはなりません。IELTS を受ける方は、IELTSスピーキングの練習方法もあわせて確認してください。
おすすめは、話すモデルは1つに決め、聞くほうは両方に慣れることです。モデルを決めると、お手本と自分の音を比べる基準がぶれなくなります。
シャドーイングで発音を身につける6ステップ
発音の違いは、読むだけでは身につきません。動画を使ったシャドーイングで、耳と口に覚えさせます。1日15分で十分です。
- モデルを決める:アメリカ英語かイギリス英語か、まず3か月は1つに絞ります。
- その発音の動画を選ぶ:1〜3分で、自分のレベルより少しやさしいものを選びます。アメリカ英語ならフラップTとRのつながりを練習する動画やアメリカ英語らしい発音のコツを学ぶ動画、イギリス英語ならロンドンでの初日を描いたやさしいストーリーが始めやすい素材です。
- まず聞く:字幕を見ながら2回聞き、r、t、母音がどう発音されているかに印をつけます。
- 1文ずつシャドーイング:1文ごとに止めて、すぐあとを追って声に出します。1文につき3〜5回が目安です。
- 録音して比べる:自分の声を録音し、お手本と交互に聞きます。比べるのは1回につき1つの音だけにします。
- AIの採点で音ごとに確認:点数の低い音を見つけ、その音を含む単語だけを取り出して練習し直します。
慣れてきたら、イギリス発音で朗読された古典小説のシャドーイング教材のような B2〜C1 レベルにも挑戦してみましょう。映画のせりふで練習したい方は映画・アニメーションの動画一覧から、TOEICのリスニング対策として複数の国の発音に慣れたい方はTOEIC学習者向けの練習動画から選べます。発音記号に自信がない方は、IPA発音コースで記号と音を先に結びつけておきましょう。
聞き比べ・言い比べドリル
次の単語と文を、選んだモデルの発音で声に出してみましょう。もう一方の発音は「聞いて分かる」ことを目標にします。
- r:car、hard、teacher、more
- t:water、better、city、little
- bath:bath、glass、can't、dance
- hot:hot、not、stop、job
- go:go、no、home、phone
- new:new、tune、student、Tuesday
- "The water in this bottle is better."
- "I can't park my car near the bar."
- "It's not too hot at the top of the hill."
- "Don't go home alone."
- "A new student played a tune on Tuesday."
- "My secretary checked the schedule at the laboratory."
まとめ:モデルは1つ、耳は2つ
アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いは、r、t、3つの母音、「ュ」の音、そして単語ごとの発音に整理できます。どちらも正しく、試験でも仕事でも同じように通用します。大切なのは、話すモデルを1つ決めて練習し、聞くほうは両方に慣れておくことです。
ShadowingEnglish では、アメリカ英語とイギリス英語の動画を1文ずつ区切ってシャドーイングでき、録音した声を AI が音ごとに採点します。まずは今日、短い動画を1本選んで、最初の1文を声に出してみてください。


