英語の早口言葉25選:日本人が苦手な音別の発音練習法

「She sells seashells」が何度言っても「シーセルズシーシェルズ」になる。「Red lorry, yellow lorry」は3回目で必ず舌がもつれる。英語の早口言葉(tongue twister)は遊びに見えますが、実は苦手な音だけを短時間に何十回も口に出せる、効率のよい発音ドリルです。ただし、やみくもに速く言っても効果はありません。日本語話者がつまずく音は決まっているので、その音に合った早口言葉を選び、正しい口の形でゆっくり始めることが大切です。この記事では、英語の早口言葉25個を「日本人が苦手な音」別に整理し、何が起きているのか、口をどう直すのか、そして毎日10分の練習手順までまとめます。個々の音の基礎から確認したい方は、カタカナ英語になる原因と直し方を先に読むと、ここでの練習が理解しやすくなります。
英語の早口言葉が発音練習に効く理由
発音が直らない一番の理由は、知識不足ではなく「回数不足」です。たとえば /θ/ の舌の位置を知っていても、ふつうの会話文の中では th は1文に1〜2回しか出てきません。早口言葉なら、10語の中に同じ音が6回、7回と出てきます。しかも、似た音(L と R、S と SH)がわざと交互に並んでいるので、口が日本語の動きに戻った瞬間に自分で気づけます。
- 苦手な音の反復回数が増える:1分で同じ音を50回以上出せます。
- 切り替えの速さが鍛えられる:単語単体で言える音が、文の中で崩れる問題に効きます。
- 弱点がはっきり分かる:つっかえる場所が、そのまま自分の苦手な音です。
- ウォームアップになる:シャドーイングや英会話の前の2分で、口が英語の動きに切り替わります。
注意点もあります。早口言葉は「音の筋トレ」であり、自然なリズムやイントネーションまでは身につきません。仕上げは必ず実際の会話音声で行います。この点は後半の練習ルーティンで説明します。
日本人が苦手な音別:英語の早口言葉25選
どの早口言葉も、まずは意味を気にせず「どの音が狙いか」だけを見てください。カタカナを振らずに、英語のつづりと音だけで練習するのがコツです。
1. L と R:ラ行で代用してしまう
日本語のラ行は、舌先で歯ぐきを一瞬はじく音です。英語の L は舌先を歯ぐきに「付けたまま」、R は舌先を「どこにも付けない」音なので、はじくラ行はどちらにも聞こえません。
- Red lorry, yellow lorry.
- Truly rural.
- Larry sent the latter a letter later.
- Rory the warrior and Roger the worrier were reared wrongly in a rural brewery.
直し方:R の前に小さく「ゥ」と言うつもりで唇を丸め、舌全体を奥に引きます。L は舌先を上の前歯の裏の歯ぐきに押し付け、離すまで声を出し続けます。「lorry」は L で舌を付け、すぐに舌を浮かせて R、という2つの動作を別々に感じてください。「rural」が言えないときは「ru」と「ral」に分け、間を空けて練習します。舌の形をもっと丁寧に確認したい方はR と L の違いを口の形から解説した記事が役立ちます。お手本がほしい方は、L と R を集中的に練習する早口言葉の動画で音声に重ねて言ってみましょう。
2. TH:「ス」「ズ」「ザ」になる
日本語には舌先を歯に当てる音がないため、/θ/ は「ス」、/ð/ は「ズ」「ザ」で代用されがちです。three が「スリー」、the が「ザ」になるのがその例です。
- Three free throws.
- The thirty-three thieves thought that they thrilled the throne throughout Thursday.
- Whether the weather is cold, or whether the weather is hot, we'll weather the weather whatever the weather, whether we like it or not.
- Elizabeth's birthday is on the third Thursday of this month.
直し方:舌先を上の前歯の先に軽く当て、すき間から息を出します。鏡で舌先が少し見えれば正解です。5番は th と f と r が入れ替わるので、「three」で舌を出し、「free」で下唇を噛む、という違いを目で確認します。7番は声を出す /ð/ の練習です。のどに手を当て、the や weather で震えているか確かめましょう。くわしい舌の位置はth が「ス」「ズ」になる原因と直し方で解説しています。6番はthirty-three thieves の早口言葉を1文ずつ練習できる動画がそのまま教材になります。
3. V と B:「バ行」ひとつで済ませてしまう
日本語では「ヴ」と書いても実際にはバ行で発音します。そのため very が berry、vest が best に聞こえます。
- Betty loves the velvet vest best.
- Vincent vowed vengeance very vehemently.
- Eleven benevolent elephants.
直し方:B は両唇を閉じて破裂させる音、V は上の前歯を下唇の内側に軽く当てたまま「ヴーー」と伸ばせる音です。V は伸ばせる、B は伸ばせない、と覚えてください。9番は vest と best が隣り合うので、唇が閉じたか、歯が当たったかを1語ずつ確認できます。
4. F と H:「フ」で両方を言ってしまう
日本語の「フ」は、両唇を近づけて息を出す音で、英語の F でも H でもありません。そのため food と who'd、fold と hold があいまいになります。逆に、coffee が「コーヒー」になるように F を H で言ってしまうこともあります。
- Four fine fresh fish for you.
- Fred fed Ted bread, and Ted fed Fred bread.
- A proper cup of coffee from a proper copper coffee pot.
- In Hertford, Hereford and Hampshire, hurricanes hardly ever happen.
直し方:F は V と同じ口の形で、声を出さずに息だけを出します。上の歯が下唇に触れていなければ F ではありません。H は唇も歯も使わず、のどの奥から「ハー」と息を出すだけです。特に「who」「hood」のように H のあとに「ウ」が来る語では、唇をすぼめて「フ」にしないよう注意します。12番で F を、15番で H を別々に固めてから、14番で coffee の F を確認しましょう。
5. S と SH:「シ」が全部 /ʃ/ になる
日本語の「シ」は英語の /ʃ/ に近い音です。そのため see が she に、sit が別の単語に聞こえてしまいます。「スィ」という音が日本語にないことが原因です。
- She sells seashells by the seashore.
- I saw Susie sitting in a shoeshine shop.
- Six slippery snails slid slowly seaward.
- The sixth sick sheikh's sixth sheep's sick.
直し方:/s/ は唇を横に引き、舌先を歯ぐきに近づけて細く鋭い息を出します。/ʃ/ は唇を少し前に突き出し、舌を後ろに引いて太い息を出します。16番は「she(突き出す)→ sells(引く)→ sea(引く)→ shells(突き出す)」と、唇の形だけを先に無声で練習すると成功率が上がります。She sells seashells をゆっくり練習できる動画で、お手本の唇の動きを真似してください。19番は英語話者でも難しい最上級なので、最後に挑戦します。
6. 子音の連続と余計な母音
日本語はほぼすべての音が母音で終わるため、子音が続くと無意識に「ウ」「オ」を足してしまいます。black が「ブラック」と4拍になり、big が「ビッグ」になるのがこれです。早口言葉では、母音を足すと絶対に速く言えないので、このクセを直すのに最適です。
- A big black bug bit a big black bear.
- Crisp crusts crackle and crunch.
- Six sticky skeletons.
- Twelve twins twirled twelve twigs.
直し方:語末の子音は「息を止めるだけ」で終えます。big の g、black の k のあとに声を出さないでください。20番は手拍子を打ちながら、1語1拍(big・black・bug・bit)で言えるか試しましょう。「ビッ・グ」と2拍になったら母音が入っています。21番の「crisp crusts」は s-p、s-t-s と子音が続くので、「crusts」の最後を「ツ」に近い息だけの音で終えます。複数形の s が続く場合の処理は語尾の s を /s/ /z/ /ɪz/ で言い分けるルールとあわせて練習すると定着します。
7. W と母音:「ウ」「ア」があいまいになる
- How much wood would a woodchuck chuck if a woodchuck could chuck wood?
- Betty Botter bought some butter, but she said the butter's bitter.
直し方:wood や would を「ウッド」と言うと W が消えます。W は唇を強くすぼめてから一気に開く子音で、日本語の「ウ」より唇の動きがずっと大きい音です。25番は Botter・bought・butter・bitter と母音だけが変わるので、口の開き方を1語ごとに変える練習になります。カタカナではどれも「バター」「ビター」に寄ってしまうので、あごの開きを意識して言い分けましょう。
早口言葉の難易度ラダー:どの順で練習するか
いきなり長いものに挑戦すると、間違った口の形のまま速さだけを追うことになります。次の4段階で上がってください。
- レベル1(2〜4語):Truly rural. / Three free throws. / Six sticky skeletons. / Red lorry, yellow lorry.
- レベル2(1行):She sells seashells by the seashore. / Four fine fresh fish for you. / A big black bug bit a big black bear.
- レベル3(長い1文):How much wood would a woodchuck chuck… / Betty Botter… / A proper cup of coffee…
- レベル4(上級):The sixth sick sheikh's sixth sheep's sick. / Rory the warrior… / The thirty-three thieves…
「ゆっくりなら3回連続で正確に言える」ようになったら次のレベルへ進みます。速さの目安は、レベル1〜2なら3回連続、レベル3〜4なら1回をつっかえずに言えることです。
1日10分の練習ルーティン:ゆっくり→区切る→シャドーイング→録音
早口言葉は「速く言うゲーム」ではなく「正確さを保ったまま速度を上げる練習」です。次の順番を守ってください。
- ゆっくり言う(2分):今日の音を1つ決め、その音の早口言葉を1つ選びます。半分の速さで、狙った音のたびに口の形を確認します。鏡かスマートフォンのカメラを使うと確実です。
- 区切って言う(2分):2〜3語のかたまりに分けます。「She sells / seashells / by the seashore」のように区切り、難しいかたまりだけを5回繰り返します。後ろから足していく方法(seashore → by the seashore → seashells by the seashore)も効果的です。
- お手本に重ねてシャドーイング(3分):ネイティブの音声を流し、少し遅れて同じ速さで言います。最初は0.75倍速、言えたら等速に上げます。ここで初めて「速さ」を意識します。
- 録音して聞き比べる(3分):自分の声を録音し、お手本と比べます。R が L に、th が s に、語末に「ウ」が入っていないかをチェックし、崩れた語だけを手順1に戻して直します。
1日に扱う音は1つだけにし、1週間で7つのグループを一巡するのがおすすめです。音ごとの練習メニューをもっと増やしたい場合は、発音練習エクササイズのまとめと、記号と口の形をセットで学べるIPA発音トレーニングを組み合わせてください。
早口言葉から会話へ:動画でシャドーイングする
早口言葉で音が出せるようになっても、会話の中では別の問題が起きます。音がつながり、弱くなり、リズムが加わるからです。そこで、早口言葉で口を温めたあとに、実際の音声を使ったシャドーイングへ進みます。
最初の1本としては、早口言葉を題材にした B1〜B2 向けのシャドーイング用音声が使いやすいでしょう。早口言葉そのものと、それを説明する自然な英語の両方を真似できます。そのあとは、ゆっくりはっきり話す素材が多いA2レベルの動画一覧や、発音や学習法を扱う教育カテゴリの動画から、今日練習した音が多く出てくる1本を選びます。たとえば L と R の日なら「really」「already」「world」が何度も出てくる動画、th の日なら「think」「the」「that」が多い動画、という選び方です。
よくある間違い5つ
- 最初から速く言う:間違った口の形を高速で反復することになり、クセが強化されます。ゆっくり3回正確に言えるまで速度は上げません。
- カタカナを振って覚える:「シーセルズ」と書いた時点で /s/ と /ʃ/ の区別は消えます。つづりと音声だけで練習します。
- 録音しない:自分の耳は、言ったつもりの音を聞いてしまいます。週に1回でも録音して聞くと、直すべき音がすぐに分かります。
- 1日に全部の音をやる:口の形が混ざり、どれも定着しません。1日1音が原則です。
- 早口言葉だけで終わる:音は出せても、会話のリズムは身につきません。必ず実際の音声のシャドーイングで仕上げます。
まとめ:英語の早口言葉は「ゆっくり正確に」から
英語の早口言葉は、L/R、TH、V/B、F/H、S/SH、子音の連続といった日本人の苦手な音を、短時間に集中して鍛えられる教材です。大切なのは速さではなく、狙った音を毎回同じ口の形で出すこと。ゆっくり言う、区切る、お手本に重ねる、録音して比べる。この4つを1日10分続ければ、2週間ほどで「つっかえる場所」が変わってくるのを実感できるはずです。
自分の発音が合っているかを耳だけで判断するのは難しいものです。ShadowingEnglish なら、動画を1文ずつシャドーイングして録音すると、AIが発音を採点し、どの音がずれたかを音素ごとに示してくれます。R が L になった、th が s になった、という点が色で分かるので、次に練習する早口言葉もすぐに決まります。今日はレベル1の早口言葉を1つ選び、そのあと1本の動画でシャドーイングしてみてください。無料で始められます。


